ノッチ

るろうに剣心 最終章 The Beginningのノッチのレビュー・感想・評価

4.5
江戸末期の京都。

長州藩の刺客として人切り抜刀斎と呼ばれる青年、緋村剣心がいた。

ある日、彼を襲った刺客を切り捨てるが、その場を巴という女性に目撃される…。

和月伸宏による人気漫画を実写映画化した『るろうに剣心』シリーズの完結編となる2部作の第2弾。

剣心が人切り抜刀斎と呼ばれて、京都で暗殺者として人を切りまくっていた時代の話。

今までの激しいアクション中心の映画シリーズとはちょっと違って、愛情の物語です。

”The Final”で断片的に語られた、「なぜ剣心が逆刃刀を持つようになったか」までが丁寧に描かれています。

対決のみせどころになっていた沖田総司ですが、剣心の前に立ちふさがるひとりとしての登場で、ストーリーにおける敵役の存在感としては弱かったです。

その点からしてもこれまでのアクション主体としたシリーズとは違い、またこれは人斬り抜刀斎の頃の物語なので、血しぶき飛び散る殺陣も異色に感じました。

そして、その後流浪人となる剣心に影響を与えたヒロイン、雪代巴の存在感が大きく、シリーズの中でストーリー性を感じさせるといった事もまた異色。

モノローグの親切が過ぎるというのはご愛敬でしたが。

シリーズの最後にその始まりの物語に立ち返り、主人公の姿を浮き上がらせる面白い趣向でした。

さらにセットや衣装もこだわりを感じ、その時代の細かい描写はストーリーにリアルさを与えてました。

また、有村架純の演技が非常に評判がよく期待して観ましたが、評判に偽りなしでよろしいかと思います。

喜怒哀楽を、表情で、時には背中で、うつ伏せでも表現しまくり、感じまくりです。

静かな中に辛さや使命感や悲しさが感じられて良かったと思います。

窪田正孝は、近年の活躍ぶりから言えば、ちょっとかわいそうなちょい役でしたね。

とりあえず、ファンにとってはすばらしいプレゼントのような作品でした。
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