「あなたの家は、ここじゃない」
デンマークで暮らす中年夫婦…夫ペーターは少々短気な医師で、家を空けることも多い。妻アンネは弁護士で、頑固だが正義感の強い女性だ。2人は可愛い姉妹を育て幸せな生活を送っている。ある日、彼らの家にグスタフという少年がやってくる。ペーターがスウェーデンに住む前妻レベッカの元に残してきた息子だが、問題児でレベッカの手に負えなくなったらしい。寄宿学校に放り込むのも不憫なので、うちで引き取ろうというペーターにアンネも賛同し、グスタフを新しい家族として迎えることになったのだ。一緒に暮らしたこともないくせに親ヅラすんじゃねーよ、といった態度で不機嫌かつ反抗的なグスタフに手を焼くアンネだったが、あることをきっかけに距離を縮めることに成功する。そして…
「罪と女王」
以下、罪とネタバレ
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「平和な一家に異物が混入し、その毒が家族を蝕み平和を破壊する」というのが、いわゆるホームインベイジョンスリラー。「淵に立つ」など傑作も多いし私の好物なので、本作序盤でグスタフが登場したときは、はい好物きたー!とアガったんです。
しかし、物語は全然違う方向に進みます。
欲求不満が嵩じてか、なんとアンネがグスタフと爛れた関係を結んじゃうんですね。カラダでガキを手懐けていくという最低展開。
…いや、これからグスタフが本性表して、アンネたちを恐怖のどん底に陥れて…てのを期待していたら…
そうはならんのですよ。
本性むき出すのは、なんとアンネの方。夫婦仲とキャリアを守ろうと、嘘嘘嘘の連打でグスタフを追い詰めていくのです。虐待された子供を救ってきた人道派弁護士の仮面がベリベリと剥がれていくのです。
あの後半の徹底的に不快な感覚。これがこの映画の核でした。やられました。予備知識無しに見て大正解だった一本です。人工呼吸器みたいなプシュ・プシュというSEが不穏な空気を倍増させる、とにかく嫌な映画。アンネ役女優の何とも言い難い熟ボディも含めて必見です。