ももぐり

恋する遊園地のももぐりのネタバレレビュー・内容・結末

恋する遊園地(2020年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

90分と短めだったので、さっくり観ようと思ったら予想以上に感情移入してしまった。以下感想。


無機物への愛というのは事前に踏まえた上での鑑賞だったが、体を交える行為にも踏み込み、ジャンボとの行為の過程では扇情的且つエロティックにジャンヌと体液を交わす。初夜の後のジャンヌの喜びようも年相応の少女といった様子で微笑ましい。
ジャンボ自身も様々な表情を見せ、他所の男と交わったジャンヌへの態度は人間の男性のように冷たい。

また、この作品のもう一つの肝はジャンヌの母の変化だろう。作中、ジャンヌは一貫して自分の機械への愛を理解してもらおうと説得し、その愛を証明するために好きでもない相手と交わって確かめた。母はあらゆる手を使って娘を"普通の恋愛"かできる子へとヒステリックに矯正を試みたが、ジャンヌは折れなかった。絶望した顔をしながらも、恋人に諭されたこともあってか終盤には概ね許容するようになった。
非生物間恋愛を認められ、そこからは晴々とした展開のまま幕引き。
周りが変わることでマイノリティもとい家族の嗜好が受け入れられるようになったのだ。


機械の演技力を突き詰めたものを初めて観ました。また、個人的な事ですが、母が似たような"押し付けるタイプの人だったので、ヒステリックに拒絶する母役の演技にも圧倒されました。