実在の事件をもとにした映画。かつてその事件を実際に担当していた元刑事さんがおすすめしていたので鑑賞。
シングルマザーの秋子は息子の周平を連れて両親から借金しようとするが、これまでにも家族からの借金を繰り返してきた彼女は愛想を尽かされ、追い返されてしまう。昼間からゲームセンターで飲んだくれていた秋子は、そこでホストの遼と出会う。2人は以前から秋子に気があった市役所職員の宇治田を脅して金を奪おうとするが…。
子どもを自分のアクセサリーとしか思っていない秋子の振る舞いに、同じ親として反吐が出そうになる。しかし、そのアクセサリーへの執着は凄まじく、子どももまた、母に同じくらい依存している。食べものがなくても、電気が止まっても、母が帰ってくるまで母を待つのだ。（祖父母の家に助けは求めない）
新しい男ができてからの秋子はさらに酷くなり、その男もまた、ろくでもない。
冷静にみると、子どもが母のもとを抜け出すチャンスは何度もあった。しかし、術を知らないし、そんなことは頭をかすめもしなかったのだろう。
「やはり、教育」。
教育がないと、こういう悲劇は何度も繰り返されるだろう。大人にとっても、子どもにとってもだ。
貧富の差がますます激しくなる現代社会において、事件化されないだけで、顕在化していないだけで、秋子とその子どもたちのように毎日をギリギリで生きている親子はたくさんいるに違いない。
しかしやはり、当人が助けを求めたり、そこから抜け出すことを選択しない限りは、周りだって助けようがない。
果たして、秋子たちはどうしたらよかったのだろうか。答えの出ない問題を突きつけられているようで、とてもあと味が悪かった。
