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83歳のやさしいスパイのlololoのネタバレレビュー・内容・結末

83歳のやさしいスパイ(2020年製作の映画)
4.3

このレビューはネタバレを含みます

めちゃめちゃよかった。

この映画についての自分の認識には変遷がある。

1.知った当初
「お、私好みの高齢者映画か」

2.見る直前
「え、ドキュメンタリーなの?!」

3.見始めてしばらく
「あれ?ドキュメンタリーじゃなかったっけか…?潜入するまでは再現VTR的な感じなのかな」

4.セルヒオが隠しカメラの試運転をした時に、彼らを撮影している映画のカメラマンが映った瞬間
「ここからもうドキュメンタリーなの?!?!」

とにかくこんな感じで、全員が役者のように見事で自然。パンフレット見たら、役者は一人もいないと書いてあってびっくり。探偵のロムロも、スパイのセルヒオも、娘のダラルもなんて自然な…。
老人ホームでの撮影は、セルヒオが到着するより前から始まっていたらしい。だから、ホームの人たちがマイクやカメラを不思議そうに見たり、撮影班に普通に話しかけているのがなんだか面白い雰囲気で良かった。

セルヒオをスパイに選んだ人、見る目あるなぁと思った。みんなに好かれすぎて目立っちゃうのはダメかもしれないけど、「この人になら話したい」と思える存在になれるのはスパイの素質として必要なのでは?それでも、特定の1人とべったりではなく、みんなと広くかつ丁寧に対応するセルヒオが素敵だった。
セルヒオ、若い時はめちゃめちゃモテたのでは?女性への対応がうますぎる。お出かけを断るのも、「十分わかり合っているじゃありませんか」とか「昔は毎日出歩いていたので今は出たくない」とか、相手に非があるように見せないのがすごい。
ルビラのために家族の写真を取り寄せるのも優しいし、それに応じてくれる探偵事務所も優しい。

「本当ならこういうことは家族が自分の目で見るものだ、この施設は愛で溢れている」というセルヒオの気づきも、セルヒオらしいなと思った。派手なことが起こるわけではないけど、いい映画。私もこの老人ホームに入りたい。
オレンジ色や緑色の壁、お祝いごとやお葬式の音楽。結構幸せそうに見えるけど、やはりどんなものより家族の愛は大事なんだろうな。
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