クリムゾンキング

サンドラの小さな家のクリムゾンキングのネタバレレビュー・内容・結末

サンドラの小さな家(2020年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

サンドラと2人の娘はDV野郎から逃げるためにホテルに仮住まい。
必死に働くも公営住宅は満杯で順番待ち、いっそ自分で作ったる!と一念発起。
ネットで造り方を調べたりひょんなことから知り合った建築作業員や友人らボランティアたちと週末に家造りをしながら、DV野郎との親権裁判など山あり谷あり。

題名から結構牧歌的な雰囲気かな?とか思ってるとDVに苦しむ人の心理的な恐怖や社会的弱者の置かれる抜き差しならない状況、子供を守る母の強さなど色々とあり、結構考えさせられる内容。

特に終盤の「大人は自分が辛い時、子供の辛さに気づいてやれない」という言葉は非常にその通りで、確かにそれは肝に銘じておかなければ、と思う。

終盤、親権を失いそうになり八つ当たりをするシーンでは人によっては「何ヒステリックになってるんだ?」と思われるかもしれないが、命をかけて守り通してきたものが奪われそうになればそりゃ自暴自棄にもなるわな、と。
それだけ愛情の深さを感じられた。

最後は灰燼に帰してしまうのだけど、アレだけの大事をやらかしたDV男はしばらく塀の中だし、本当の意味で解放されたんだな、と。
救われてはいないのだけど、閉じかかっていた未来が開けて、また一からやり直そう、という余韻が、エンドロールの曲調も相まって非常に良かった。