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ナイトメア・アリーのmiumiuのレビュー・感想・評価

ナイトメア・アリー(2021年製作の映画)
4.0
オスカーで作品賞はじめ複数ノミネートということで、公開と同時に早速観に行ってきた。

パンフレットまだ読み込んでないんだけど、エンドロール見る限り原作小説ありで、かつリメイク作品なのかな?
映像や美術が美しく、かつずっと不穏な空気が漂う。
そこまでグロさやサプライズがあるわけではないのにしっかりホラーな雰囲気がある作品。

カーニバル(移動式のサーカス)にふとしたキッカケで雇われ、読心術を身につけて売れっ子になった野心家の主人公スタンが、降霊術を装ったショーに手を出したことから徐々に破滅に向かうストーリー。

実は大オチには早い段階で気づいた…… のだけれど、見落としている伏線やメタファーがたくさんありそう。
展開や登場人物に加え、繰り返し出てくるモチーフや小道具等の考察をしたうえでリピートしたくなる作品。(長いけど)
出演者も大好きなブラッドリー・クーパー、ルーニー・マーラ、ケイト・ブランシェットに加え、ウィレム・デフォー、トニ・コレット、デヴィッド・ストラザーン、リチャード・ジェンキンスとツボを突いてくるキャスティング。


『シェイプ・オブ・ウォーター』のギレルモ・デル・トロ監督作品に加え、ブラッドリー・クーパーが主演かつ製作としても参加している作品。
ブラッドリー・クーパーは若手時代に分かりやすいイケメン枠だった分、作品を選べるようになってからはテーマ性の強い映画を選んでいるという印象。
今作も風刺や暗喩が込められているのかな… と考えながら鑑賞したけれど、結構観たまんまの作品なのかなあ… 私自身の知識不足で分からなかった。
詳しい人考察&解説して!



(ここからちょっとネタバレ、ネタバレNGの方は鑑賞後に読んでください。)

主人公のスタン、読心術を教わった仲間から「他人を騙す行為はいけない」と幽霊ショーを禁じられたにも関わらず、結局踏み出してしまうあたり、名声やお金に囚われた者の愚かさを感じる。
スタンの行為を現実社会に置き換えると、読心術は「客からデータを集めつつ、それを捻じ曲げずに生かして顧客を喜ばせようとする行為」。
一方で、幽霊ショーは、喪失を経験した人を食い物にしたり、明らかな「嘘」であったりする分、より罪が深いのかと思う。
嘘と建前の使い分けは政治の世界でもよくあること。そのあたりの暗喩なのかな、と初見では思った。

加えて気になったのが、「これはいったい誰のナイトメアなの?」ということ。
スタン、スタンの父、ギークなど、鍵になる人物が複数いて、誰の悪夢でもあり得る気がする。
そして、そもそもこのストーリーそのものが現実ではなく1人の人間が見ている夢ともとれる。

リメイク元? の『悪魔の往く町』を見れば謎めいた部分について分かるのかなあ……。

と、いろいろ感想を書いたけれど、難しく考えなくても美術や世界観や音楽が美しいエンタメスリラーホラーとして楽しめる作品だった。
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