akrutm

わたしは金正男を殺してないのakrutmのレビュー・感想・評価

3.3
金正男暗殺の殺人犯として逮捕された二人の若い女性や彼女たちの弁護士の側から、金正男暗殺事件の真相を描いた、ライアン・ホワイト監督のドキュメンタリー映画。

当時この事件に興味を持ってニュース報道等を見ていた(私のような)人にとっては、本映画で新しい真実が特に明らかになるわけではないので、そういう意味では期待できないが、裁判の様子とか、拘留時の二人の女性と弁護士のやり取りの肉声などは貴重。一方で、この事件をよく知らない人にとっては、一見の価値あり。ある国家が他国の一般人を使って自国の要人を暗殺するという、小説にしか出てこないような事件が実際に起こるんだということを、目の当たりにできる。息子にディスニーランドを見せたいという理由で日本に密入国するなど、どこか憎めないキャラだったが、一方では常に暗殺の可能性に怯えながらもCIAに協力するなど、金正恩にとっては目の上のたんこぶだったのだろう。もちろん恐怖政治の体制を維持するという理由もあるだろう。

本映画を見終わってあらためて感じるのは、果たしてこの世には正義(justice)というものがあるのだろうか、ということである。
akrutm

akrutm