maki

アシスタントのmakiのレビュー・感想・評価

アシスタント(2019年製作の映画)
4.3
映画業界で1人のアシスタントとして働き始めてたった5週間の女性のある一日。
ジュリアガーナーのなんとも言えない演技が素晴らしい。

様々な違和感も、次第に諦め、その状況に慣れてしまうような空気感。処世術を身につけてしまった人たちは、まだまだ目にするもの、耳に入る言葉に戸惑いを隠せない新人を悪意なく傷つける。
そういう構造が、静かに人の身も心も押し潰していくことがよく描かれている。

直接的な被害者でなくても、その状況に苦しむ人がいて、止められなかった苦しみから自分自身も加害行為の一端を担いだという二重の苦しみが降りかかる。

大なり小なり、自分もいろんな空気の中で判断を誤ったことがあると思うだけに、動きが加速する今の世の中に小さな希望は感じつつも、過去の自分に対する許せなさみたいなも増していく。

***
『サクセッション』のトムが、ここでもまた飄々と嫌な感じの役回り、腹が立つほど似合う。
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