新しい家族が誕生する家庭、元彼との悪い噂が立つ学校で居心地の悪さを感じ始めた14歳の少女つばめ。ある日、唯一くつろげる書道教室の屋上で時間を過ごしていると、夜空に浮かぶ偏屈な老婆の姿を見かける。やがて、そのおばあちゃんと会うようになったつばめは、徐々に心を打ち明け、人生の相談に乗ってもらいながら成長していくヒューマンドラマ。
隣の家に住む大学生の亨(とおる)に恋をする女子中学生のつばめ。
亨の誕生日にバースデーカードをプレゼントしようと文章を考え、隣の家の郵便受けに投函するも一晩経って恥ずかしくなり回収しようとするも亨に話しかけられ回収できずにいた。こういう所が中学生らしくて可愛いなと思う。
父親が再婚し、血の繋がりのない母親が妊娠して、新しい家族を迎えようと待ち望む両親。
学校では、星山中学校の裏掲示板で元彼の笹川に関する誹謗中傷を書かれ悪い噂が流れたり、笹川との険悪な雰囲気が流れたりと居心地の悪い毎日を送っていた。
放課後は趣味で書道教室に通い、「後悔」という文字を書くも先生からは“後悔は時間が経てば経つほど、大きくなるものですからね”と言われ、更に気になり出すつばめ。
まっすぐ家に帰りたくないつばめは、書道教室の屋上で「ほしのとよ」と名乗る星ばあと出会う。星ばあが乗るキックボードは水たまりの中で空を飛んでいるように見えるという幻想的なファンタジーの様な演出がとても綺麗。
“年くったらなんだってできるようになるんだぁ”
と言い何でも魔法のようにやってしまう星ばあ。頻繁に会うようになり、徐々に距離を縮めていく歳の離れた2人の友情がとても素敵。
星ばあは“まこと”という孫がおり、一緒に過ごす時間をふいにしてしまった事を後悔しているとつばめに話すところから、まこと探しの旅を始める後半の展開が好き。
前半はつばめの淡い青春の後悔が描かれ、後半は星ばあの人生の心残りの後悔が描かれ、2人がそれぞれの後悔を補完していく関係性を描いている点がとても良い。
全く知らない相手だからこそ自分の悩みを包み隠さずさらけ出す事ができるんだろうな。
ファンタジーかと思いきや、リアリティ溢れる物語だった。水たまりや、空、海月、水族館などの映像はとても幻想的で綺麗だし、清原果耶の純粋な笑顔や涙が何よりも美しい。
血の繋がりはなくとも母親の愛は海よりも深いし、不良でチャラチャラしてるけど根は凄く良い笹川のキャラも好き。終盤の父親がつばめにカミングアウトする話のシーンが泣けた。つばめの両親は本当に素敵な人なんだと思う。
習字を習ったり、水墨画に興味を持ったりと、血の繋がった母親を何処となく追い続けてたんだろうなと思う。
時間を無駄にせず、家族を大切にし、しぶとく後悔のないように生きることの大切さを、星ばあが身をもって教えてくれたような気がする。清原果耶も桃井かおりも演技が飛び抜けて上手い。最後の病院の写真の星ばあの笑顔のインパクトが強くて忘れられない。
水墨画についてよく知らなかったけど、興味を惹かれる魅力がある。清原果耶好きにはオススメの作品。