ぴのした

逃げた女のぴのしたのレビュー・感想・評価

逃げた女(2019年製作の映画)
3.7
ホン・サンスの映画はいつも男と女の話のように見える。

男の人はたいてい愚かしくて見栄っ張りで自分のことしか考えていない。キム・ミニ演じる主人公はじめ、女の人は真面目で、それゆえにいつも悩んでいる。

夫と四六時中一緒にいた主人公とは対照的に、友達は離婚したり、自由な恋愛を満喫したり。何やら確執のありそうな女性もなんだかんだうまくやっているみたい。

例によって3つの場面にパート分けされていて、全体も短い。だからなんだというストーリーではあるけれど、気の抜けたような空気感の中に、ところどころ切羽詰まった感覚があって面白かった。

猫に餌をやるなという隣人とのやりとりも相手の語り口が丁寧な分、逆に怖かった。その後の猫ちゃんのアップがかわいい。

主人公は何から逃げているのか。四六時中一緒にいたいという夫から逃げているというように思えるが、むしろもっと大きなものなのか…