ぬーたん

マシニストのぬーたんのレビュー・感想・評価

マシニスト(2004年製作の映画)
3.8
役作りの為に大幅な減量や増量をするのは、もはやハリウッドでは当たり前のようにもなっているが、流石にこれは凄過ぎた。やり過ぎ。
クリスチャン・べール。
この役の為に4か月で30キロ減量。
撮影終了後、4か月で45キロ増量。
しかもバットマンなので脂肪ではだめ、筋トレしながらの増量だ。
マシニストというよりも~マゾヒストなん?クリスチャン。
ジャケからして怖い。
ホロコーストを思い出させるほどのあばら骨の浮き出た体。
最終的には、ここまで痩せた意味はあったのか?
という疑問。
勿論痩せてないとダメな役だが、ここまでの極端な痩せっぷりは必要とも思えず。
宣伝か、クリスチャンのこだわりか。
観るものに与えたいもの(恐怖心など)のためなのか。

出だしは上手い。
結果を見せて、これから説明されるだろう出来事の予想の幅が生まれる。
『メメント』を思い起こさせるようなメモや血や死体。
妄想と現実。
その境界線の探り合いをするにも、やや冗長で40分程でちょっと飽きてくる。
出口の見えない道を歩かされているような気持ちだが、その先の道に何があるかはだいたい予想が出来る辺り。

事故のシーンは痛ましい。いや、痛いの多過ぎ。
サスペンスというよりはホラー。
お化け屋敷のお化けを見てびっくりして動悸がするような展開に、寿命が縮むって。
ただ、伏線の回収が上手い。
釣りと魚。写真やメモ。
暗くて観づらいのもちゃんと理由があるわけで。
更にカメラや色彩も暗いがそこがまた雰囲気や主人公の気持ちに合っていた。
舞台も工場や部屋、カフェなどで割と閉鎖的。
そして何より関心したのは、ただのスリラーでは終わらないこと。
ラストまでいくと、メッセージ性があって、それが何とも考えさせられた。
追い詰められた人間の精神的な弱さ。
罪悪感と正義。
こんなヤツとは関わりたくない、と思いつつ観ているのが、最後には、少し愛情を感じて来る。
1年前の普通の体型のクリスチャン・ベールを出すことで、その変化に納得させられる。
こんな素敵だったのに。と思う。
やっぱり普通だとイケメン、かっこいいわ。

クリスチャン・ベール以外のキャストはあまり目立たず、特筆すべきこともないが、ごく普通の反応が自然で良かった。
激ヤセの話題ばかりで敬遠してたけど、案外深くて良作でした。
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