【工場が実家】
創業者であるベリー・ゴーディーJr.が語る、音楽レーベルモータウンのドキュメンタリーである。
彼がフォードの工場で働いていた時に思い付いたビジネスモデルが面白い。
工場ラインで車を生産するように、ミュージシャンを生産していくというもので、大変に合理的であり、時代に合っていたのであろう。
極めて無機的なシステムから、最もエモーショナルなものを造りだそうとは、何と逆説的なのであろうか。
合理的であるがゆえに、多くのミュージシャンが世に出る。しかし、彼らの多くは、創作における更なる自由を求めて旅立っていく。
作品の中でも、会社は家族みたいな言葉が出て来るが、正に、旅立っていった人々にとって、モータウンは実家のようなものであったのかもしれない。
マイケルジャクソンもスティービー・ワンダーも素晴らしいが、個人的にはスプリームスが一番好きだ。
美しくて可愛らしくて、当然であるが歌唱力も抜群。人種なんて関係無いのである。
人種差別もこのドキュメンタリーの大きなポイントではあるが、今回はやめておこう。
ただ、産み出された音楽と時代の風だけで十分であろう。