ブルームーン男爵

グリード ファストファッション帝国の真実のブルームーン男爵のレビュー・感想・評価

4.0
本作は、難民問題を扱った「イン・ディス・ワールド」で2003年ベルリン国際映画祭で金熊賞を受賞したマイケル・ウィンターボトム監督がメガホンを取っている。ファストファッションで成り上がった利己的な男を主人公に、主人公の強欲さと、資本主経済の搾取の構造などをブラックユーモアたっぷりに描きだしている。80~90年代は「強欲さ」は金融業界の代名詞だったが、現代ではファッション業界の代名詞である。

マイケル・ウィンターボトム監督の作品は好き嫌いが分かれるようだが、私は大好き。作曲家マイケル・ナイマン(私の大好きな作曲家)とタッグを組んだ「ひかりのまち」は、私のお気に入り映画ベストテンに入る。淡々とした時間を描きつつ、そこにウィットの効いたブラックユーモアを忍び込ませるのがほんと面白い。

まぁ、一般向けはしないとは思うが、多くの人に観てほしい。日本でも人気のファッションは、搾取構造の産物であると多くの人に知ってほしいものだ。