サヨ

リトル・ガールのサヨのレビュー・感想・評価

リトル・ガール(2020年製作の映画)
3.9

サシャとサシャを取り巻く家族のドキュメンタリー。ドキュメンタリーだからこそ、サシャを取り巻く環境や人々の意識が劇的に変わることない。
サシャが好きな服を着て、好きなペンケースで学校に通うという一見簡単そうな問題も学校との進まない協議、周りへの理解への促進、カウンセリングの中で長い時間をかけて闘った末に勝ち取ったサシャの当たり前にある権利。

シーンの合間に挟まれていた印象的なサシャのバレエの練習風景のシーン。サシャが男として扱われながらも好きなバレエを続けているけれど、サシャは踊りを踊る時も周りの様子を伺いながら、隣の女の子の真似をしている。自信がなさそうなサシャ。
 結局バレエをやめることになり、自分の庭でひとり踊るラストシーンではサシャがあまりにも美しくバレエを踊るから、バレエ教室との違いとサシャの秘めたる才能に吃驚した。ピンクの好きな服を着て、スカートを履き大好きな蝶々を背中につけて踊るサシャのありのままで生きる姿の美しさよ。

サシャが普通に生きること、性別違和という本人のジェンダーアイデンティティの違和感を他人に晒さずとも生きられる社会になるのはまだ遠い未来だ。それでも私たちが意識を変えて、だれもが普通に望む生活を寛容に受けいれられる社会になるまで私自身も知ることを辞めずにいようと思いました。
サヨ

サヨ