田島史也

大怪獣のあとしまつの田島史也のレビュー・感想・評価

大怪獣のあとしまつ(2022年製作の映画)
1.0
始まった途端に違和感。なぜ青春映画テイストなのか。そうじゃないんだよ、感。見たいのはラブロマンスではなく、徹底的にロジカルな設定描写。シン・ゴジラの続きが見たいとは口が裂けても言えないけれど、それに近いものを見せてくれると期待していたのだけれど。世界観もあやふや、設定も微妙。特務なんてものを作っちゃったら、もはや何でもアリなのよ。制限がある中で戦うから面白い。ルールは物語における最高の調味料だと思う。本作では、せっかくの現実世界というルールを放棄した。空想の生き物を、空想の世界で片付ける話の何が面白いのか。
中途半端なコメディ、テンポの悪い展開、お粗末なCG。コメディなら、CGのあらさも許容されると思っているのか。そもそもコメディとしても不成立な上に、映像も微妙となると、もはや救いようがない。
「あの人」の力が必要、とか、いやいや勘弁してよ。国家レベルの作戦において、そんなヒーロー展開有り得ますか?お役所仕事がそんなアバウトな推論と希望的観測によって行われるはずない。根本的なスタンスが間違っているとしか。
恋愛映画だとしたら、全く感動できないし、コメディだとしたら笑えないし、政治ドラマだとしたらリアリティが無さすぎる。全てにおいて中途半端な駄作。全てがブレブレだから、どういうテンションで観たら良いのか分からない。台詞も演技も全てがキツい。画作りも、どの路線の作品であったとしてもハマらないような微妙な出来。政府の施設はどうなっているんだ。会議室や廊下の無駄なサイバーパンク感。それに加えて、構造物それ自体に本来有り得ないようなト書が付けられ、場面を説明させようとしているけどあまりにもお粗末。ツッコミどころが多すぎてストーリーどころでは無いが、ストーリーも問題だらけ。予告編の段階ではいい着眼点で面白そうだと思っていたが、見事に期待を裏切られた。ここまで酷い作品は久々に観た。まあ、前評判を知った上で観てるから、覚悟はしてたけど。
後始末を題材にしているのに、怪獣の隆起とかいう限定的な事象を前提として物語が進行するのも可笑しいし、そもそも隆起の仕方もだいぶ浮世離れしてるけど、もういいや。日本国家を非現実的に描いた非科学的なファンタジー映画(恋愛要素もコメディ要素もあるよ)ということで。オチについてはもう言うことはないよ。ある意味期待以上だ。
こんな映画に参加させられた俳優とスタッフが不憫でならない。R.I.P
田島史也

田島史也