『マネーショート』『バイス』などの社会派コメディ作品を得意とする監督。今作も期待を裏切らない。それどころか現代社会を批評する作品としては、かなり秀作なのでは。テクノロジーに依存し、社会への関心を失う人間の低落ぶりを描くシニカルさは、ポールバーホーべン監督の名作『ロボコップ』のようでもある。
キャストにも注目。ディカプリオとローレンスのコンビが地味な外見の良識派で、メリル・ストリープがトランプ並みの下品な大統領、ケイト・ブランシェットがエロキャスターという配役は、俳優のイメージの真逆。良識派でも品行方正には描かれず、食べ物もジャンクを好んだりとリアルな描き方。
馬鹿馬鹿しくすればするほど、今の社会の有り様に近く感じられるのがなんとも皮肉。それにしても、よくぞ脚本にここまで落とし込んだものた。