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ハマのドンのsunaimaiのレビュー・感想・評価

ハマのドン(2023年製作の映画)
2.0
観た過ぎた作品。なぜって、この映画でヒーロー扱いされている藤木氏。外資のカジノは確かに阻止したが、今現在、山下公園で計画されているスポーツベッティングの中心に名を連ねているのだ。

そもそも「ハマのドン」が総理大臣の菅義偉に歯向かってカジノ反対を表明したからといって、それが民主主義の成功事例なのか?横浜市民が皆、ハマのドンに共鳴して山中市長を選んだのなら、それはそれで地元の有力者の思うツボではないのか?そうした逡巡は全く無し。ただ単に、時の総理を叩きのめしたというカタルシスのみで成り立つ作品だと感じた。

映画のクライマックスになる横浜市長選は、私自身も大いに注目していた。現職の林市長はカジノ推進を掲げつつ国からハシゴを外され、自民は閣僚の小此木氏にカジノ白紙を掲げて立候補させた。対する野党は山中氏を擁立するも、無所属の田中康夫氏が立候補。カジノ反対のみならず、横浜市の問題点を的確に指摘し、山中氏とは比較にならないほどの政策立案で支持を広げていた。

こうした背景も映画では全く触れられていない。ひたすらハマのドン=藤木氏を称賛し、菅義偉が応援する候補を負かしたことと、戦争体験や港湾労働の様子を語るシーンで共感を狙う。山口組や住吉会との交流も隠さずに伝えるが、負の部分への踏み込みは弱い。

いずれにせよ、結果オーライでも外資カジノを阻止した横浜市の記録の「一部」は垣間見れる。さて、この度の地方選でカジノ容認に振り切った大阪市は、今後どうなるか。
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