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スペシャルズ! 政府が潰そうとした自閉症ケア施設を守った男たちの実話のmakiのレビュー・感想・評価

3.9
重度の自閉症を患う青少年の受け皿を担うブリュノと社会からドロップアウトした若者たちの就業支援を担うマリク。

社会や制度からこぼれ落ちるものを必死で受け止める彼らの代わりがない。ピアノの旋律が美しく、笑顔にも苦悩にも心が鷲掴みにされた。
こういう作品に出会うと、自分に何ができるんだろう?と、モヤモヤしてしまう。

ここ数年、ほんの少しだけどアウトサイダーアートといった美術教育を受けていない人たちの作品(たとえば自閉症や精神疾患を患った人たちの作品とか)に触れる機会があったり、施設を見る機会があった。社会への入り口(施設からの出口)が少なく、施設滞在者の高年齢化で施設が膨れ上がるばかりだと言うのを聞いた。
その頃から、私が中学生まで同じ学校にいたあの子たちは今どうしているんだろう?と、自閉症の同級生たちのことを思い出す。当たり前のように存在する彼らとみんな当たり前のように接していたのに、今は彼らの存在を意識しなければ、周りを見渡しても身近にいないし、存在しないようにみえる。
無意識のうちにそういう生活の中にいることに気付かされる。
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