日本映画として重いテーマに挑み、ラストまで見せ切る群像ドラマに仕上げている。胸に刺さるシーンや演技もあった。
ただ、作品全体としてとても残念。
そのひとつ、マスメディアの描き方を例に取ると、刑事責任が微妙な交通死亡事故の遺族や関係者に対して記者やリポーターは横暴な取材などしない。仮にあったとしてもそれは例外で逆に大問題となる。
当然、取材対象者の人権には配慮するし、作品が炙り出しているように被害者の過失が大きい死亡事故は善悪や司法の判断がデリケートだからだ。
本作における父親や店長の心情を追い詰めるためのフックとして、ステレオタイプで過剰な描き方をしたのだろうが、メディアリテラシーが低過ぎる。この点だけを取っても「空白」は詰めが甘い。