サヨ

Swallow/スワロウのサヨのレビュー・感想・評価

Swallow/スワロウ(2019年製作の映画)
4.3

旦那も優秀で義父母が購入してくれるような裕福な家に住めるほどの玉の輿で周りから見れば何不自由のない生活をすることができるようになった。そんな中でハンターは日常の些細な不安と孤独の積み重ねに蝕まれ、周りにあるさまざまなものを飲み込むようになる。
きっかけは義父母と旦那との会食。会食でハンターが話す途中で悪気なく話を遮られる。些細なことでも孤独や不安、それ以上の気持ちをのみこんで何も言えないハンターは近くにあった氷がキラキラして見えて所構わず飲み込んでしまう。
それからキラキラしたお気に入りのビー玉や乾電池、押しピンや釘などさまざまなものを飲み込んでいくハンター。

異食症がバレても変わらず異物を飲み込んでいくしまうのは、自身の過去への罪悪感や孤独や不安が埋まらず”自分”を見つめて愛してくれる自信がないから。飲み込むことで快感と充足感を得てしまう。異食症を知った義母がまだ飲み込みやすい野菜ジュースを作るシーンでは、上手く飲み込むことや抑圧的な環境にいる”できるフリ”をしなければならない女性の苦悩と義母の孤独への少しの理解を表しているように思えました。

話が展開するにつれてわかっていく置かれている状況や長年の精神的な孤独さを知っていくにつれて、恐ろしさよりもハンターの悲しみに寄り添う気持ちに。ハンターが異物を取り出す場所でもあり、異物を取り込む場所でもあったトイレはかなりこの映画の象徴的な場所で、最後のエンドロールは映画の余韻として秀逸なシーン。

異食症というテーマに焦点を当てた本作ですが、異物を飲み込むことの恐ろしさを描くというよりも、孤独や不安を抱えた女性がどう衝動やその過去と向き合いながら生きて行くのかという描き方が上手く、異物を飲み込むシーンもそんなに不快感を覚えずにすんなり見ることができました。
正直なところ怖いもの見たさで鑑賞しましたが、想像を超える展開で不思議と心に残る作品でした。ヘイリーベネットかわいい。
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