タイ映画って初めての鑑賞かも。
いつの間にか上映が終わってたと思ったら、半年も経たずのうちにNetflixで配信してくれてました。新作の配信が早すぎて、Netflixと配給会社との間で一体どういう契約になってるのか気になる…
断捨離とは?
もともとヨガの思想のようですね。入ってくる不要な物を「断ち」、家にずっとある不要な物を「捨て」、物への執着から「離れる」
基本的に部屋の中に物を置きたくないタチなので、大変面白く拝見できました。ミニマリストの何もない部屋に憧れる気持ちもわかる。
それでも日本人の心の中には八百万の神がいる。
つくもがみ。長い年月を経て、物に宿ると言われている神様。それはただの物質から、なにか大切なものへと変わっていく。言葉にだって神様は宿るし、髪の毛にだって神も穢れも宿る。
わたしの死んだおばあちゃんから貰った誕生祝いの一万円札は、大事に仕舞ったまま何十年とずっと使うことはできないし。
まさかのエヴァのシト新生のパンフレットがまだ残ってたのを発見したのは、かなり感動しました。ほぼ25年前の記憶が一瞬で蘇る。
誰かにとってはそれがただの物質であっても、わたしにとってもうそれは物ではなく思い出のぬくもりなのだ。
それでも、忘れたいこと。
だから、忘れたこと。
だけど、忘れられないこと。
だからこそ、忘れなければならないこと。
主人公が物を捨てる行為=それにまつわる人々との別れの整理。この構図が大変面白かったです。
物を捨てることで前に進まなければならないし、物を返すことで過去を整理しなければならない。それでも残すことを決めた物を大切に自分の心と決着をつけなければならない。
写真を記憶と年月のモチーフとして物語を展開していたので、ちょうど写真のようなアス比だったのでしょうか。それともタイ映画の標準画角だったのでしょうか。変わったアス比でしたが、アングルの素晴らしさを最大限に活かしていたと思います。
止め絵のカットが多く、全編に渡ってまるで写真アルバムを眺めているような、とても美しい映画でした。
指を鳴らす=サノスで全世界に共通認識されてるのがツボでした。