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滑走路のmityのレビュー・感想・評価

滑走路(2020年製作の映画)
3.0
いじめに自死に・・・重めの内容なんだろうなぁと覚悟しながら観たものの、やっぱり苛めのシーンには気分が悪くなった。苛められている者同士で傷付けあうのは居たたまれなかったし、ずっとその苛めの記憶に縛られていたのも、ツラいものがあった。死を選択した理由は結局のところ他者には分からないけれど、苛めの後遺症に苦しんでいたことを思うと、あの同級生達は犯罪者同様だと思う。

委員長が翠にかけた「どんな選択をしても嫌いにならないよ」って、勇気を与える言葉だなと思えて印象的だった。父親に怯えていたあの頃の翠にとって、きっと大切な言葉になっただろうし、拓己との事に悩む今の翠も、あの言葉を思い出して、決断したんじゃないかなと思った。

時代ごとの切れ目がないので、考えながら観る必要はあったけれど、でもそれによって、地続きであるということが伝わってきたなとも思う。鷹野の心が解れたような笑みと、翠の温もりのある眼差しに、萩原慎一郎さんの言葉と共に、希望の感じられるラストだった。
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