イギリス、海岸の町シーフォード。教師のエドワードと詩を愛するグレースは、結婚29年の熟年夫婦。息子のジェイミーは成人し一人暮らしだ。ちょっと強引で辛辣なグレースに対し、エドワードはいつも無言で付き従い、喧嘩らしい喧嘩もしたことはない。ハタから見たら、まさにオシドリ夫婦というやつだ。しかしある日、エドワードがいきなり離婚を切り出した。そして突然家を出てしまう。戸惑い・苛立ち・怒り・落ち込みと感情の波が押し寄せ、混乱するグレース。そんな母を案じ、毎週末実家に帰るジェイミーだったが…
「幸せの答え合わせ」
以下、「かつて、ネタバレにいた」。
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離婚とは苦しく、痛みを伴うもの。切り出した側にとっても切り出された側にとっても、間に立つ子にとっても…
という作品。邦画ならユルく喜劇に料理して「家族はつらいよ」なんてタイトルにしちゃって元サヤに戻ることがゴールになってしまうけど、現実はもっと奥深くて闇があるよね。29年の時間を「私は愛されている」と思い込んでいた妻と「諦めと忍耐」で過ごした夫。溝は時間がかかればかかるほど、深いよ。当然ながら自分の家庭と重ねて見てしまうが…確かに嫁さんはアネット・ベニングっぽい棘とマウント取り屋なとこはあるが、俺はビル・ナイとは正反対で自己主張をするし、感情的で、不誠実（笑）。だからちゃんと衝突するし、ガス抜きもしてるから離婚はしないなーと思った次第。
シーフォードの切り立った崖の景色が美しく、ピアノの旋律も耳に残り、ラストのジェイミーの独白と空撮が自然に涙を誘います。良作。
