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Harmonies de Paris(原題)の河のレビュー・感想・評価

Harmonies de Paris(原題)(1929年製作の映画)
3.6
ヴァルター・ルットマン『伯林』を下敷きにしたパリにおける city-symphony 映画。ルネ・クレール『la tour』と共に配給されることが多かったらしい。

近代の街の姿を映すと共に、「パリのどこにいても、過去が現れる」としてモニュメントや建造物を通して近代の街に潜む過去を映し出していく。そして、有機的な庭と無機的な建造物、バロック的な建造物と古典主義的な建造物、都市と郊外、工業と川など、相反するようなものを同じリズムの上で組み上げることによって調和させていく。

過去から現在に続くあらゆるものが調和し共存した街としてパリを映していく。その基調となるのは何度もインサートされる水面に反射する光のショットであり、それが過去も現在も変わらない普遍的なもののように映る。

その光の反射は夜になっても続く。変化したのは光源が月から街の光になったことであり、このモチーフも同様に変化しつつも過去から現在にかけて連続性を持ったものとして現れる。

最後に景色を眺める女性のクロースアップが入る。そしてその女性の視線の先にある空、そして光の反射する水面のショットで終わる。現在から過去へと向けられていた視線が連続を保ちつつも未来へと向けられて終わる。

近代化の進むパリの街をあくまでも過去からの連続として描き、そして現在から連続していくだろう未来へと視線を移していく。非常に前向きなパリ讃歌のような作品となっている。近代化が主軸となっていないところ、近代を特異点としていないところがcity-symphony の作品としては珍しいところのように思う。アヴァンギャルド的な映像の操作もほとんどない。

この映画に映るものはラストに映る女性に映ったパリの街のように感じられる。女性作家による作品であり、監督自身にとってのパリがこう見えていたということだったんじゃないかと思う。

https://www.cinematheque.fr/henri/film/103082-harmonies-de-paris-lucie-derain-1927/
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