このレビューはネタバレを含みます
タイトルに敢えて
< The Family >で括る意図が判る。
それも、絶妙なクレジットと音楽の出だしから
タイトルバックの醸し方にまで伝わってくる--
相反するような主題に
愛の手で握ろうとして、哀の手に振られた。
それは勿論、ヤクザ・暴力団・暴走族・マフィア
と名の知れた反社と云われるものになんて、縁は更々ないのだが
拠り所を見つけた男のそれが"ヤクザ"であっただけ、至って平凡な人として生活を送りたかった...
その願いが、綾野剛演じるケンボウの表情・声、そして、耐えても溢れでる涙からヒシヒシと伝わってくる。
ある意味、日本にとって「ヤクザ」という主題は
任侠と一言に纏めるだけでなく
良くも悪くも一つの文化なのだ、と感じれた。
「Day and Night」以降藤井道人監督のファンだが、今作のロケ地もまた人や心の情景を切り取るのに、工場群の煙が絶え間なく揺れ動く素晴らしい景色になっていたし
出所後:14年後の生き辛さといったものを
スクエアで本当に巧く表していた。
主人公が死して尚、此方側に感動を与え
きちんと葛藤の変化も伝わる作品でした。
P.S. 映画館で見逃していた"新聞記者"も早く観ます。(反省。)