KANA

太陽がいっぱいのKANAのレビュー・感想・評価

太陽がいっぱい(1960年製作の映画)
4.3

HDDからまた一つ消化しようと、気まぐれにチョイスしたのはこれ。
レビューしてない名作の一つ。
今日は太陽がまばゆかったからかな…

はぁ……何度観ても傑作…

ルネ・クレマンの緻密な演出、
アンリ・ドカエによる鮮やかな映像、
ニーノ・ロータの哀愁に満ちた音楽、、

そして何よりトム・リプリーを演じてスターダムにのし上がった美男アラン・ドロンの存在そのもの!

キラキラ底抜けに明るい地中海・青い瞳の美貌と、どす黒い嫉妬・嫌悪のコントラスト。

甘いマスクの裏に潜む悪魔的なかげりが超絶カッコよくてたまらない〜!
殺害すべきフィリップの服を着た自分を鏡に映し、
自らを愛撫するかのように見つめる究極のナルシズムすら魅力的。

このドロンのどこか卑しさが漂う悪の魅力は、母親の再婚相手と馴染まず自ら軍隊に飛び込んだというバックグラウンドからくる素顔でもあったそうで。

サインの研究、練習の抜かりなさ
死体運びや指紋すり替えシーンのスリル
…いつしかトム目線で完全犯罪を全うしたい気にさせる。

持ち前の頭のキレ、スマートさ、器用さでソツなくやり遂げたぞ!マルジュだって手に入れた!と、満足の極みの中安心しきって太陽を浴びるトムの表情が忘れられない。

そしてどんでん返しの描写まで映し切らないラストが映画的に粋過ぎて惚れ惚れ。
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