ShinMakita

人数の町のShinMakitaのネタバレレビュー・内容・結末

人数の町(2020年製作の映画)
1.7

このレビューはネタバレを含みます

借金取りに追われて逃げ場を失った青年が、「自由になれる」との誘い文句に惹かれて長距離バスに乗り込んだ。着いた先は小さな町。ちょっとした作業の代価で食料を得る以外に、そこではやることがない。プールで遊ぶのもよし、仲間とだべるもよし。仲間うちで合意があれば、だれとセックスしてもいいが、結婚はできない。法律もしがらみも無い、まさに自由なコミュニティだ。ただし、町を囲むフェンスからは、作業以外で出ることはできないのだ。青年は徐々に町の暮らしに慣れ、不安のない熟睡できる日々を送ることになる。町に囚われた妹と姪を探しに潜入してきた女・紅子と出会うまでは…


「人数の町」。


以下、自由と友愛の印、ネタバレをどうぞ。

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元ネタがあるのかどうか知らないが、俺世代のオタクが想起するのは恐らく「プリズナーNo.6」でしょうね。魂と感情が抜かれた住人たちが暮らす自由で変な村に囚われた男が脱出を試みる話です。本作の設定はそれを現代的にアップデートして、町の役割を皮肉っぽく描いていました。行き場がない、あるいは生きる価値も無い人間たち…彼らには「人数」でしか存在価値は無い。選挙の投票数、カフェのインスタアップ数、レビューサイトの評価数…あらゆる人数操作のために集められたコミュニティなんですね。そのカルトっぽい雰囲気は、ランティモスの「ロブスター」な感じかな。

設定は面白いものの、展開は想定内。中村倫也のローテンションとチューターたちの気味悪さは良かったかな。
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