ひろぽん

スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバースのひろぽんのレビュー・感想・評価

4.1
『スパイダーバース』2作目

ピーター・パーカー亡きあと、スパイダーマンを継承した高校生のマイルス。共に戦ったグウェンと再会した彼は、様々なバースから選び抜かれたスパイダーマンたちが集う、マルチバースの中心へと辿り着く。そこで、マイルスが目にした未来は、愛する人と世界を同時には救えないという、かつてのスパイダーマンたちが受け入れてきた哀しき定めだった。それでも両方を守り抜く事を固く誓ったマイルスだったが、その決断がやがてマルチバース全体を揺るがす最大の危機を引き起こしていく物語。


蛍光色が際立つカラフルなアニメーションや、水彩画のような鮮やかなカラーが画面一面を覆い尽くす、実写では出来ない演出がとても綺麗で魅入ってしまう。

状況に応じて色の使い分けが適切になされていて、感情が色により表現されていて没入感が凄かった。

今作での凄さはやはり多次元宇宙的手法によって、異なる宇宙からやってきたスパイダーマンが一堂に出会うという斬新なアイディアにあると思う。次から次へと湧き出るかのように個性的なスパイダーマンで画面が溢れるといった夢のような展開には興奮せずにはいられなかった。

また、今作では次元の移動がアイテム使用で自由にできるようになっているから、多くの宇宙を自由自在に移動する事ができるのも見どころ。

前作に引き続き主演として黒人スパイダーマンのマイルスと、女性スパイダーマンのグウェンにスポットを当てたダブル主演の演出。やや家族愛に尺を取りすぎてテンポが悪くなっているようにも感じた。

『スターウォーズ』や『エヴァンゲリオン』『LEGO』を連想させるようなシーンがあったり、「決して避けることのできない出来事」のカノンイベント(正史のスパイダーマンとしての哀しき運命)を説明する回想シーンで実写版のトビー・マグワイアやアンドリュー・ガーフィールドを登場させたり、ゲームの中のスパイダーマンを登場させるなど様々な要素を盛り込んでいるから、スパイダーマン好きにはたまらない1作となっている。

特に、アニメに3次元のキャラを登場させるといった斬新な発想は革新的な映像体験として面白いと思った。

前作ではスパイダーマンとしての運命を受け入れ、今作ではスパイダーマンとしての決して避けられない哀しき運命に抗っていく。

1人でも救わなければならない命を助けるのがスパイダーマンの役割だとするとマイルスが正義でスパイダー・ソサエティのミゲル率いるスパイダーマンたちがヴィランのように映る。
哀しき運命を辿るのがスパイダーマンの運命だとするならばスパイダー・ソサエティのミゲル率いるスパイダーマンたちが正義でそれを逸脱しようとしているマイルスが悪に映る。

誰が正義で、誰が悪で、誰が敵で、誰の言っていることが正しいのか、よく分からなくなってくる。

マイルスが対峙するもう1人の自分。プロウラー・マイルスは敵なのか味方なのか?
今後の展開に期待。


“私にあうバンドは見つからなかった。だから自分で作った。”
というグウェンが昔の仲間を集めてチームを結成するという激アツな展開はマジで上がった。

グウェン推しだが、妊娠中でバイク乗りのスパイダーマン・ジェシカも際立ってて良かった。スパイダー・パンクやムンバッタンのスパイダーマンも自分をちゃんと持っててカッコ良い。特に周りに流されない自我を行くスパイダー・パンクの圧倒的な存在感が好き。

2部構成だということを知らずに鑑賞してしまったため、ラストが不完全燃焼のまま終わってしまった。今作は完全にハマりきらなかった部分もあるから次作に期待♪

情報過多とは正にこの作品のこと!
ひろぽん

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