コーカサス

嵐ケ丘/嵐が丘のコーカサスのレビュー・感想・評価

嵐ケ丘/嵐が丘(1939年製作の映画)
3.6
“生きるには命が、死ぬには魂が必要だ”

イギリス北部の荒野に佇む嵐が丘に養子として引き取られた孤児のヒースクリフ(オリヴィエ)は、屋敷の娘キャシー(オベロン)と恋に落ちるが、上流階級の青年エドガー(ニーヴン)にプロポーズされたことを知り、ショックで姿を眩ませる。
数年後、成功を手にした彼は再び嵐が丘に姿を見せると復讐を始めた。

“ブロンテ三姉妹”の次女エミリー・ブロンテの同名小説を、『ローマの休日』や『黄昏』のウィリアム・ワイラー監督が映画化。
ローレンス・オリヴィエのハリウッド初主演作であり、『リア王』『白鯨』と並び「英文学の三大悲劇」と呼ばれるうちの一本である。

時として男の復讐は女より恐ろしい。
復讐心、嫉妬心、執着心…これらに出世欲、金欲、独占欲を絡めれば、男の方が女の何倍も醜く、女々しく思えてならないが、そんな男性の心理をここまで鋭く描くことが出来たのは、もしかしたらブロンテが女性だったからかもしれない。

本作が公開された1939年は『風と共に去りぬ』『オズの魔法使』『駅馬車』『スミス都へ行く』といった数々の名作が生まれたハリウッドの“当たり年”だが、この『嵐が丘』もまた例外ではなく、名作と呼ぶに相応しい作品だろう。

164 2022