むらむら

ウルフウォーカーのむらむらのレビュー・感想・評価

ウルフウォーカー(2020年製作の映画)
5.0
「わおおーーん!(良かった!)」

狼に変異できるウルフウォーカーであるメーヴと、街に住むわんぱくな少女・ロビン。少女二人の交流を描いたファンタジーアニメ。

舞台は1650年、アイルランドのキルケニー。弓矢の腕に自信のあるロビンは、父親のビルに狼退治へ連れてってくれとせがむも、女の子だから、と聞き入れてくれない。父親の後をつけて、狼退治に向かったロビンは、森の中で罠にかかってしまう。そこを助けてくれたのがメーヴ。メーヴの不思議な力で、寝てる間に狼となる能力を与えられたロビンは、町を支配する「護国卿」に囚われているメーヴの母を一緒に助け出そうとする。

自然と人間、というテーマで「もののけ姫」っぽいという話もあるが、俺は未見なので分からず。俺的には「羅小黒戦記」思い出した。あっちも結末全然違うけど名作。

まず、主人公のロビンが良い。わんぱくで、まっすぐな、アニメの主人公として一点の曇りもない純粋な女の子。俺もこんなふうに生まれたかった。

ロビン弓矢持ってなくても戦闘力高いので、おそらくロビンの子孫はホークアイとグリーンアロー。

「ここがもう牢屋なのよ」

というロビンの言葉。安全な街が、実際には支配層の手のひらの中で踊らされてるだけだと示唆する良い台詞。父ちゃんと一緒に、俺もハッとしてしまった。

もうひとりの、「噛んだ相手を狼にする」、ゾンビみたいな能力を持つメーヴも愛おしい。塩沢ときとパパイヤ鈴木を合わせたような、鳥が巣を作れそうなフサフサな爆発ヘアがトレードマーク。ブルース・ウイリスにちょっと分けてあげたいくらい。

個人的な見どころは狼視点での森や街の様子。匂いまでもが漂う、なぐり書きをそのまま動かしたような荒々しい表現は、3Dでモデリングしたものをわざわざ色鉛筆で書き直してる。以前「マロナ(傑作!)」でも感じたが、ヨーロッパのアニメは、そのまま額縁に飾れそうなアートな表現が抜群に上手い。

「狼に助けられたので、森を伐採するな!」と主張しただけで、牢屋に繋がれた木こりのオッサンは可哀想だった。作中の9割、さらし台に頭と両手を固定されたまま。ロビン、狼助ける前に木こりのオッサン助けてやれや……。

アカデミー賞ノミネートも納得の出来でした。これも、「マロナ」も「羅小黒」も「鬼滅」も「FUNAN」も、ここんとこ映画館で観たアニメはどれも素晴らしかったので、アニメ映画は世界的に盛り上がってるなー、って感じる。これと前後して観た「シェンムー」のアニメ版(ではないが、そうとしか思えない作品……近々感想書きます)も迫力あったし。

狼といえば昔遊んだ「大神」ってゲームがめっちゃ面白かったなー、と。人生で狼のように勇ましくなりたくてもチワワ程度にしかなれない俺は思うのであった。

「わおおーーん!(明日から本気出す!)」
むらむら

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