サッカーと映画観るのがすき

ノマドランドのサッカーと映画観るのがすきのレビュー・感想・評価

ノマドランド(2020年製作の映画)
3.5
アカデミー賞 作品賞有力候補。
”ミナリ”とどっちから観ようか迷ったが、たまたま都合のよい上映時間だったのでまずはコチラから。(”ミナリ”も観たい)

その今年のアカデミー賞。
コロナ下でだいぶ異例なノミネート状況で、配給会社別ノミネート部門数上位は、Netflix:38, Amzon:12, ディスニー:8, ワーナー:8, ソニー:6 だそうな。この一年ハリウッドは事実上休業状態で、これまで対象外とされていたデジタル配信のみの作品もノミネート対象にせざるを得なかったらしい。
来年以降コロナが収束したとしても、ハリウッドメジャーは巻き返せるんでしょうかね?映画・コンテンツ産業構造変革は止まらない・戻らない気はしますが、はてさて。

で、作品賞ノミネート8作品の中で唯一のハリウッドメジャー配給がこの「ノマドランド」なわけで、従来業界関係者的には最後の砦なんでしょうね。受賞本命と言われるのもそりゃ頷けます。(作中の季節労働先が Amazon というのも、なんだか皮肉っぽいすね w)

そんな事情にかこつけてケチつけたい訳ではないですけど…コレが”作品賞獲るのかぁ?”が率直な感想でした。
フランシス・マクドーマンドの全力体当たり役作り、演技はさすが!凄い!としかいいようがなく。美しくもあり、厳しくもあるアメリカの雄大な自然、果てしない荒野へ引き込まれるような映像はとてもキレイでした。ですが、それらが際立っているだけに、叙事詩的っぽいというか、ドキュメンタリータッチすぎではないかと…。
それはそれで悪くないんですけど、唯一のハリウッドメジャー・ノミネート作品がインディーズっぽい映画でどうすんじゃい!みたいな …。
”夫婦愛・家族愛・友情”は伝わりましたけど、作品賞獲る作品には、もうちょっとドラマチックだったり、スリリングだったり、ロマンチックだったり…であって欲しいなぁと思っちゃいました。

それと、ノマド生活を少々ポジティブに美化しすぎでは?とも思った。
経済的困窮からノマド生活をおくる彼らが、仲間たちとの出会い・交流を通じて、ポジティブに生きようとする姿勢は凄い。”感動”とか”素晴らしい”というより、驚きです。
60歳をすぎて、あの生活を楽しめます?暖かい食事とベッドのある生活の誘いをあえて断ってまで?自ら望んで?ほんまでっか?
開拓者精神?自由と尊厳?アメリカンスピリット恐るべし…ですね。
そのアメリカの資本主義に毒されたワタシにはとても理解できませんでしたわ…

(追記)Amazonの配送センターがなんで期間限定労働なんだろ?と思ったのでチョロっと調べてみた。いや、やっぱり過酷だろコレ。そしてその仕事も早晩ロボットに奪われていくという…
(引用) https://newsphere.jp/national/20171212-2/2/
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このような人々の一団が、毎年秋になると、ネバダ州ファーンリーのオートキャンプ場に集まり、自給11.5ドル(約1,300円)の倉庫での業務に従事する。雇用するのは、アマゾンだ。秋からクリスマス前の繁忙期に、季節労働者として、各地の倉庫でノマドを雇い入れているという。彼らの業務は、商品を探し配送準備をすることだ。歩き回り、身をかがめ、しゃがみ、商品を引っ張り出し、階段を駆け上る。1日のシフトは10時間以上で、固いコンクリートの床の上を、1日に15マイル(約24キロ)以上歩くこともあるという(ガーディアン紙)。32度の暑さの中、50ポンド(約25キロ)の商品を持ち上げることもあり、倉庫には無料で市販の鎮痛薬が用意されているとのことだ(NYT)。
クリスマスが終わって仕事がなくなると、ワーキャンパーたちは次の場所に移動する。彼らの仕事は、農場での果物摘み、球場でのハンバーガーやビール売り、砂糖大根の運搬、油田の警備など多岐に渡り、いずれの労働も共通して長時間低賃金だという(NYT)。ロサンゼルス・タイムズ紙(LAT)は、その多くが金銭的に余裕のない生活を送っているとしている。肉体的にも重労働であることが多く、持病を抱えている人もいる。健康不安に加え、所有する車の老朽化、修理も悩みの種だ(NYT)。