Jun潤

いとみちのJun潤のレビュー・感想・評価

いとみち(2020年製作の映画)
3.8
2021.07.07

前クールのアニメ「ましろのおと」にハマりかけたものの終盤が期待外れだったのでリベンジも兼ねて三味線ものに挑戦です。

青森のメイド喫茶を舞台に、津軽弁の三味線少女の成長を描いた作品。

津軽弁×三味線×メイド喫茶というなかなかクセの強い組み合わせの題材でしたが、これが不思議と上手に噛み合っていました。
おばあちゃん譲りの訛りの強い津軽弁からクラスに居場所を見出せない高校生がメイド喫茶で働き出し、三味線でもって自己を確立していくという、なかなか王道な作りになっていました。

印象的だったのはやはり津軽弁で、字幕が欲しくなる程何を言っているのか分からない場面が多々ありましたが、セリフの内容ではなく、抑揚と表情から感情を表現する手法には脱帽ものでしたし、何を言っているのか分からなくても少女の思春期の感情や家族愛が伝わってきました。
あとなにより見ている人には内容が伝わって来なくても、作中の人物たちとはちゃんと通じ合っているというのもなんだか良かったですね。

終盤の三味線演奏シーンでは、それまでのびのびと自分の感情を曝け出して弾いているシーンがなかったり、序盤で自分の弾いている姿が嫌いになったりという場面があったからこそ、カタルシスが発揮される場面にも仕上がっていましたし、
メイド服という可愛い衣装を身にまとい、微笑みながら楽しそうに三味線を引く姿は見ていてとても心地よかったですね。

そんな場面を経て、ラストは山の上から自分の悩みの小ささを感じ、山の上に向かって自分の居場所をアピールするように手を振る姿は美しさすら感じました。
Jun潤

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