駒井蓮さん、『名前』の時すごく良かったから気になってたんだけど、やっぱりいい。すごくいい。
自分でも演技をするようになって、プロの役者さんがどう演じているのかを、昔よりも見るようになった。
演技の感情表現には3つあると感じてる。
(ぼくが勝手に思ってるだけだけど)
「発散する芝居」
「含ませ芝居」
「見せない芝居」
例えば「悲しい」という気持ちを抱いてるとして。
さめざめと泣いたり、怒りとして何かにぶつけたりするのは「発散する芝居」
逆に元気に振る舞ったり、少し物憂げな素振りを見せたり、直接ではない見せ方をするのを「含ませ芝居」
外側からは何も表出させないけれど、結果的に伝わってくるのが「見せない芝居」
「見せない芝居」はすごく難しい。
台本やキャラクターに感情移入すればするほど、見せてないつもりでも見えてしまう。
感情をうまく外に出せなくなってしまった内気な主人公を、ここまで抑制的に演じているのはすごい。
お父さんが豊川悦司さん、父と娘という関係性からどうしても『子供は分かってあげない』を思い出す。
本作の駒井蓮さんにしても、『子供は分かってあげない』の上白石萌歌さんにしても「見せない芝居」が本当に上手だ。
「目は口ほどに物を言う」というけれど、
口では黙れても、目を黙らせるのは難しい。
この映画は津軽訛りが強く、会話の内容が分かりづらいのだけど、これもいい。
言葉の内容ではなく音で表現されていて、まさに映画は音と映像なんだと感じさせてくれる。
また、どのシーンもやたらと物が多く、散らかっているのも、背景から人を想像できるように作られていて、いろんな意味で粋な作品だと思った。
【ここからは余計な一言】
強いて言えば、意味付与的なカットがちょいちょい入っているのが余計に感じた。
せっかく、直接的な表現を避けているのに、時折直接的なカットが入ってくるので、やや冷めてしまうところがあった。
また、これだけ部屋で見せられているので、山で締めない方がぼくとしては好みだった。
とはいえ、そんなことはさておき、とてもいい作品だと思いました!