えいがうるふ

ブラック・スネーク・モーンのえいがうるふのネタバレレビュー・内容・結末

4.0

このレビューはネタバレを含みます

ジャケ画やあらすじからエロエロバイオレンスな猟奇変態ストーリーを期待した人には残念ながら、露骨なシーンは最初だけ。見た目とやり方は荒っぽいものの中身は限りなく聖人君子のサミュエルにいい意味で予想を裏切られる。もちろん、ただの人畜無害男ではないそのキャラの横顔をブルースを歌わせるという激シブな演出で魅せつけるのもうまい。

ラザラスとレイの身体を張った人間綱引きやレイがラザラスの部屋で歌うシーンなど、印象的な場面はいくつかあるが、一番ハラハラしたのはサミュエル退場後のラストシーンだった。若い二人のために思わず拳を握りしめて「ああ、頼むよ・・・」と祈った。
個人的にはティンバーレイクの情けない役どころがすごく良かった。ある意味彼女以上にひどい痛みに打ちのめされただろうに、彼は逃げなかった。甘いマスクの優男が身も心もボロボロになりつつ必死で前に進もうとする姿はよい。

かなり極端に白人キャスト:悪人、黒人キャスト:すべからく善人、に描かれているせいで、せっかく良い話なのにややバランスを欠いて見えるのが少々残念ではあるが、B級だろうと斬り捨ててスルーするのはもったいない味わいのある作品。