タカ

ウィッカーマン final cutのタカのレビュー・感想・評価

ウィッカーマン final cut(2013年製作の映画)
3.7
死と再生の祭り

内陸から離れた孤島
島民から匿名で依頼された捜索願
少女を救うための正義感と職務を全うするための責任感
合わせ持った二つの思いは簡単には実を結ばない
土着の思想は島民たちの団結を生み出し
何か大きな秘密を共有しているように感じる
私にとってのまともはあなたにとってのまともなのだろうか?
生きていく中で築き上げた価値観
それががねじ曲がり始めたとき
数の優位が自らの思想を翻弄していく

"復活"ではなく、"転生"という教え
司祭もいない、教会も廃墟
国教として指定される宗教でさえ
独自の地で発展を遂げた異質の前では意味を失う
この島では死という概念は完全に逸して
朽ちた生命は自然の一部に流転して生き続けていく
自然神を信奉した信仰心の間では
人の命を生贄とした豊穣の願いも至極当然
死と再生の祭りと言われる五月祭が 
刻一刻と迫る

絶望の中で視界に入る人型
自分の終わりを意識し始めてもなお思想を貫き通す
最後の最後まで厳格な殉教者
だからこそその役割を十二分に発揮する
絶叫と熱唱が入り混じる祭りのクライマックス
見事に世界は二分される…


ここから感想(ほぼほぼメモ)

一枚岩集団の恐怖
マジョリティの優位性がただただおそろしい
どのような思想であろうが、大人数が少人数を圧倒するパワーバランスの恐ろしさ
あの島を排除しなければならないという感想を持つ人がいるのではという可能性が何より怖い
決してキリスト教が何より正常ということではない
受容せず押し付けようとすること
他人の思想を蹂躙すること
決してしてはならないことだ
タカ

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