サッカーと映画観るのがすき

ベイビー・ブローカーのサッカーと映画観るのがすきのレビュー・感想・評価

ベイビー・ブローカー(2022年製作の映画)
3.5
キャスト、ロケーションが韓国でも、”ザ・是枝作品”。
とはいえロードムービーでもあるので、風景、街並みや建物、遊園地の雰囲気なんかは、当たり前ですけど韓国らしさ=似て非なる異国感は感じます。冒頭雨の夜シーンはなんとなく”パラサイト”の雰囲気も感じたのは意識的だったりして?w

家族・親子の在り方、生きる・生かされる意味、死生観のような重めのテーマをコミカルな演出を交えて淡々と展開していく構成。生きづらい世の中をサバイブするために共犯依存関係から擬似家族になっていく様。いやが応にも”万引き家族”とかさなりますよね。
ソン・ガンホの雰囲気・存在感、リリー・フランキーに差し替えても違和感ないなぁ…なんて思ったりして。

もともとスリリングなサスペンスや伏線ありありのミステリーとは思ってないので別に違和感はないし、ある意味イメージしてたとおりではあるんですけど、まぁあんまり抑揚のない映画ではありますよね。個人的には、少しはハラハラドキドキするような展開があってもいいんじゃないのかな?と思ったりもしちゃいますが、それはそれで雰囲気ぶち壊しになるやも知れず…かもな。
とはいえ、淡々とストーリーが展開していく中で、擬似家族一行の面々がお互いを思いやるようになり、皆みるみる穏やかで明るい表情に変わっていく様をみ続けているとなんとも言えぬ穏やかな気持ちになりますね。これぞ是枝演出・映像ってカンジでした。

是枝的ハートウォーミング作品として良作だとは思うのですが、ロケ地・スタッフ・キャストを全面的に韓国にした意欲作であることを考えると、私的には是枝監督にはもっと新たな一面・才能をみせて欲しかった気もして、ちょっと物足りなさも感じてしまったかな。もちろん期待を込めて。