今年の2月に義母が脳梗塞で倒れ、まさに中尾ミエさん演じる妻の笠井和子のような状態で右半身が不自由になった。病院に入院したが、コロナ禍の6月初旬、介護老人保健施設へ入所、その後も入所したままになってしまった。
コロナ感染症の流行で、4月以降は面会もままならず、10月になって2週に一度2人だけという条件で、10分程度の面会ができるようになった。
一方の義父は、尾藤イサオさん演じる笠井謙三そのもの。
ずっと一緒にいたので、その落胆と言ったら、見ているこっちも辛くなる感じだった。
この映画では、夫婦2人にだけフォーカスされていたが、我が家では、義父母と同居している私と妻、別居している義妹、孫である私のこどもたちも、義母の状態に消沈し、当初はお通夜のような感じだった。
また、お義母さん頼りで何もできない義父は、娘である妻の相当な負担になっていた。
中尾ミエさんは、脳梗塞患者の状態を非常に上手に表現していた。
また、尾藤イサオさんも、妻を愛する夫をうまく演じていた。まさに、義父そのものだった。
ただ、我が家の状況と違うのは、夫謙三は家事全般をできること。
この夫婦の物語としては、確かに「感謝」でいいのかもしれない。
それをテーマとするなら、お二人の演技も物語も十分なものだと思う。
しかし、現実は、そんなものではないということで、映画としてはマイナス部分もある。
我が家では、ここにきて、やっと生活のリズム、役割分担が落ち着くべきところに落ち着いた感じ。
これまで、何やかやぶつかりあって、微調整しながら落ち着いた感じなのだ。
この映画は、この映画でいいとは思う。夫婦がお互いを思いあいながら長い間一緒に過ごすこと。これが、まず大前提なのだから。
私は、この映画は若い人たちが将来を考える上で、そして、50代の人たちも夫婦のどちらかがそういう状態になった場合に備えて、観るべき映画だと思う。60歳をを過ぎてから観たのでは、すでに遅しだから。