マンブルコアにケツ毛が生えたような映画かと、ぼんやり眺めていたけど、終盤の公園のくだりあたりで、これもしかしたら『少女ムシェット』なんじゃないのかと。それとバッグを盗み続ける視線は『スリ』か。そうなるとブレッソンをニューヨークに持ち込んでカサヴェテスのように人間に迫ってみせるジョシュア・サフディは、最初から志高い作家のような気もしてきて、なんとなく納得したり悔しかったり。
『アンカット・ダイヤモンド』にまで繋がる社会から放り出された変人のドキュメント観察。極まった作風だが、一切媚びないサフディの強さ。
手錠をかけられたまま動物園のホッキョクグマを見ていて、いつしかその妄想(ホッキョクグマと戯れる自分)が現実と変わりない映像として流れてくるのがとても心地良かった。こういったのを、適当な「ふり」して何気なくブッ込めるかどうかのセンス。