まずはウディ・アレンが健在で良かった。2020年時点のウディ・アレン自身のような愛すべき老害の妄想。数多くの名監督が自伝的映画を作る中で、彼は今を描く。絵画の世界ではなく、今回は名作映画の世界に入っていってしまった。若手社会派映画監督への嫉妬も笑える。
紛れもなく80歳を超えていないと撮らないような映画であり、ウディ・アレンしか考えないような話。それを、決して光るショットもないが、手癖でも、ちゃんと観られる映画に仕上げている。決して両手を上げて評価できる作品ではない。日本公開が遅れたのも残念だが、観られて良かったとは思う。
彼が起こしたとされる問題については外から断罪できるものではないと思うが、知らないふりも出来ない。頭の片隅に置きながら、作品は作品として評価していきたい(キネ旬レビューの2名には違和感)