当たり前だけど、映画は音と映像のメディアだ。だから、話が面白くても映画が面白いとは限らない。
『サマーフィルムにのって』は「話は面白い映画」だ。
映画への愛と恋愛が交差するところ。
2つの映画制作が離れては交わるところ。
消失した映画の行く末。
ただ映像作品として、面白いとは感じなかった。
大きな理由は芝居だ。
主人公のハダシに映画への愛情も恋愛感情も友情も感じない。
一方で、脇を固めるビート板こと河合優実がいい芝居をしているがために、彼女の友情や恋愛感情にフォーカスが移ってしまう。
たぶん、ラストに乗れなかった観客が多かったのではないか。それは、キャラ押しばかりの伊藤万理華に感情移入できないからだと思う。ラストの大きなエモーションに説得力がない。
おそらく伊藤万理華の演技力ではなく、監督の演出の問題で、キャラと感情という二軸の演出ができていないように感じた。
学園青春ものって難しいんだなぁ。