翼

オールドの翼のレビュー・感想・評価

オールド(2021年製作の映画)
4.0
残酷な映画。
大怪我や病より、見方によっては死よりも残酷なことは『時間の経過』であると訴えかける。特にあのショッキングなシーンのえぐられ方は…筆舌に尽くしがたい。新たな衝撃の形というか、畏怖とも絶望とも違う初めての感情を抱いた。是非体験してほしい、あんなものを撮ろうなんてとんでもない感性だとマジで思う。
ジョジョ6部で触れるとヤバイ蛙が空から飛来して街を襲うシーンで、頬に蛙が触れた赤ちゃんの顔半分が50代くらいのおっさんになって「うげっバブ〜」みたいな台詞を吐くのがトラウマなんだけど、正にこの感情。母親はこの赤ちゃんを愛せるのか、知能が幼児のままの中年の人生とは、最も美しい青春時代を無下に奪われることの理不尽さ、いろんな感情が押し寄せて言いようの無い気持ちになる。

時間の経過は老いと衰えの他にも与えてくれるものがある。成長と赦し。本作が真に描きたかったのは、夜の海辺で赦し合い、家族で語らう後ろ姿だったのかも。それにしても残酷だが。

そして毎作何かしらの役どころで出演するシャマラン監督の「出たがり」が本作でも遺憾無く発揮。初期作はチョイ役だったのにどんどん主要なキャラにキャスティングされていく!今回はガッツリ重要どころで訝しげな視線の演技まで披露。
そのうち主演やるんじゃねーか
翼