しゅん

脱出のしゅんのレビュー・感想・評価

脱出(1944年製作の映画)
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今年の映画納め。
ヘミングウェイ原作でフォークナー脚本ということで文学好きにはたまらない。ホーギー・カーマイケルの演技と演奏が観られるので音楽好きにもありがたい。文学・音楽・映画が同じくらい好きな人間にとってこれほど贅沢な映画はないです。
『永遠の戦場』同様フォークナーの脚本ってかなり強引なんだけど、理詰めじゃない迫力があるんだよな。それと会話がとても魅力的。「死んだ蜂に刺されたことはあるか?」は名台詞だと思う。寸止めなところで話が終わるのには驚いた。
ウォルター・ブレナン演じる酔っぱらいがトリックスターとしていい味出してる。ローレン・バゴールの下品なのか上品なのか判別がつかない目も忘れがたいな。もちろん低音の歌声も素晴らしい。
白のジャケットが多数の酒場で、ハンフリー・ボガードの着る黒いジャケットはよく映えていた。ポケットの大きいジーンズもイカす。

しかし、ホークスの作品はなんでいつも水がでてきて、なんでいつも登場人物がずぶ濡れになるんだろうか。水への執着みたいなのを強く感じる。
あと、wikiによると、ホークスがヘミングウェイと話したときに文学に対する映画の優位性を説いて、「君の作品で最も駄作と思われる小説を原作にしても傑作映画にしてみせる」と挑発して出来上がったのが本作らしいんだけど、果たして本当なんだろか。かっこ良すぎるエピソードだけど。
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