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その男、東京につきの06のレビュー・感想・評価

その男、東京につき(2020年製作の映画)
3.8
映画を見た後、震えが止まらなかった。
ラッパー般若のドキュメンタリー。般若という男がいかに信念を貫き通しながら、自分と音楽に対して真摯に生きてきたか。

前半、若かった頃の自分の話は懺悔のようにも聞こえる。しかし「楽しかった」「そのやり方しかなかったし、後悔はしてない」という言葉に嘘は見えない。だからこそ、昔の仲間が今でも般若のLIVEに来るんだろう。

スクリーンの中の般若は、不器用で、見た目よりも臆病で、人間が出来ていない。だからこそ彼はこんなにも人に好かれて、みんなの心に届くリリックを書く。

最後の武道館でのLIVEシーンは、拳を握り締めざるを得なかった。

般若の歌が自分の心に刺さったり、勇気をくれたりするのは、なるほどこういう人が作ってるからなんだと納得した。本人の生き様が曲の歌詞を体現してて、嘘がなかった。それは凄いことのように思うし、ラップとはそういう文化なんだ。それを改めて感じる映画だった。




ただ!!
映画としては、ちょっと不親切に感じる。般若愛に溢れているのは素晴らしいけど、般若の自伝を読んでる人しか分からなさそうな文脈でドキュメンタリーが進む。般若は「俺の音楽を、何となく聞いてる奴は要らないんですよ。好きか嫌いか2択だと思いますよ」って言っていたけど、映画までそうでどうする。日本にRAP映画自体が少ない中、せっかく般若がドキュメンタリーになってるのに!
もっと親切な構成だって良かったんじゃないかと、勝手ながら思ってしまう。
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