健一

ある人質 生還までの398日の健一のレビュー・感想・評価

ある人質 生還までの398日(2019年製作の映画)
4.2
『自分の無力さに腹が立つ!』

主人公の恋人が 同じく主人公の姉に向かって言う。
衝撃が走った。
ふかふかの映画館の客席に座って ゆったりと映画を鑑賞している私達にこの言葉が痛いほど突き刺さる。
今の私達には何が出来るのだろうか?

想像以上に素晴らしい作品でした。
衝撃的な内容だが 力強く 考えさせられ 深く感動した🥺。
『映画』の力、意味、世界に伝える意義を改めて感じさせてくれた力作。

2013年。398日間に渡ってイスラム国の人質になり奇跡的に生還したデンマーク人の写真家ダニエル・リューの衝撃の実話!
彼の過酷な獄中生活とダニエルを救出しようと決して諦めず必死に行動する家族。人質救出の専門家の内なる戦いを 時に痛々しくほぼ忠実に映像化。

シリアの内情は?イスラム国は?
今どうなっているのだろう。
たまにニュースで流れたり 本作や昨年観た「シリアにて」などを見るたびに気にかけてはいるのだが、コロナの現状 コロナの報道で あっという間に頭の中から掻き消されてしまう。
なんとも情けなくて都合のいい人間なんだと 自分を責める。
本作のような作品が生まれる事でこの国の情勢が一歩でも良いほうに進んでくれる事を祈るばかり。

体操選手になる夢を諦め写真家となりシリアに住む 普通の人々 を撮影するために危険な現地へ足を運び入れてしまったダニエル。
イスラム国の戦士達は身代金欲しさに彼を人質に取り 金を要求する。
テロには屈しないとばかりに政府は助言はくれるが 力 は貸してくれない。
中流階級の彼の家族は自分達の力だけで多額の身代金を工面しなければならない。
政府は助けてくれないどころか身代金目的の募金を募るのは違法だと言う始末。
なんて冷たいんだ!😤💢

父、母、姉、妹。
家族の葛藤が本当に良く描かれていて胸が締め付けられる反面 感動的!
そして本当に救出するんですから。
人間の意志の力 というのはホントにすごい!家族の愛に涙した。

獄中生活での拷問シーンや監禁シーンはかなり衝撃的な映像だが 真実から目を背けてはいけない!
『第二のダニエル』を出さぬよう 逃げてない演出は 心を打つ!

人間とは何という生き物なんだ!
宗教、信仰、考え方の違いだけで こんなにも差があるのか!💢
娯楽作ばかり見てないで たまには本作のような作品を観て身を引き締めなくては。

結局 私に出来る事は 何も無い。

『自分の無力さに腹が立つ。』


2021年 2月22日
イオンシネマ板橋screen 11
💺92席
客入り 20人前後。

ワンデーパスポート購入の列が凄い!大行列!
私は今のところ 1日1本で いいので。
健一

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