ひろぽん

エスター ファースト・キルのひろぽんのレビュー・感想・評価

3.8
『エスター』の前日譚

2007年、米コネチカット州。トリシアとアレンのオルブライト夫妻は4年前に発生した愛娘エスターの失踪事件から立ち直れずにいた。そんなある日、夫婦のもとにエスターがロシアで保護されたという思いがけない知らせが届く。アレンはこの奇跡を心から喜んだが、母親のトリシアは娘の言動に違和感を覚えた。やがて地元の警察も不審の目を向けるなか、本性をむき出しにしたエスターが暴走を始める。実はエストニアの精神病院を脱走した彼女は、裕福なオルブライト家に目をつけエスターになりすました血も涙もない殺人鬼だった。エスター誕生前夜の物語。


前作から14年の月日が経ち子役だったイザベル・ファーマンが10歳の役を23歳で演じていたが、やはり顔つきが大人びており少し違和感があった。

また、前日譚という事で前作の『エスター』のストーリーに繋がり、エスターは何があっても死なないという前提があるので楽しめないのではないかという不安があった。

年齢や内容に懸念点があったが、見事にそれを打ち壊してくれる展開の面白さがあったと思う。

前作ではエスターから早く逃げてと彼女に関わる人達を応援していたのに、今作では気づいたら殺人鬼のエスターを応援しているという不思議な感覚になった。


今作では残忍な殺人鬼エスターの誕生秘話がが描かれる。

自分の顔に近いという事から4年間失踪していたアメリカ人の少女“エスター”になりすましたリーナ。裕福な家庭のオルブライト家に近づいてしまったことが全ての元凶になるとも知らずに…

このオルブライト家の母と兄が想像を裏切るような人たちだった。特に母はただものではない。前作の母と違ってエスターと互角以上に渡り歩き、エスターを食ってしまうほど迫力が凄かった。

エスターと母の白熱していくバトルが面白く、ドンドンやってしまえと言わんばかりにどちらも応援してた。エスターの嫌がらせであるネズミスムージーが特に気持ち悪かった。

途中までは想像がつくような展開だったが、オルブライト家の秘密を知ってしまうところからのどんでん返しが想像もしない方向へ向かっていき面白かった。

前作のためにはられていく伏線についても楽しみがいがある。エストニアの精神病院からの脱走、ブラックライトで照らすと別の絵が浮かび上がる手法、放火事件etc.....

最終的には前作の冒頭へ繋がっていくラスト。

結果が分かっている所からどう物語を展開させていくか難しいところを活かして制作されていると思う。前作ほどサスペンス感も意外性もないけど、それでも楽しめる内容だった。大人になってしまった身長162cmのイザベル・ファーマンをアナログな手法で子どもに見えるように頑張って撮影されたと思うと凄い。

顔が大人びたことでより30代女性の設定であるエスターに近づいたように感じる。ファーストキルと言いつつ、結構人殺してるぞ。やっぱり1作目の方が圧倒的に面白い。
サイコで最高!
ひろぽん

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