回想シーンでご飯3杯いける

エスター ファースト・キルの回想シーンでご飯3杯いけるのレビュー・感想・評価

2.5
2009年公開のスリラーの名作「エスター」。何故か10年以上の時を経て、その前日譚が登場した。「ゴーストバスターズ」や「インディ・ジョーンズ」もそうだけど、一旦幕を閉じたシリーズや、単発作品だからこそ魅力があった作品の続編が作られる昨今の風潮に、コンテンツ不足というネガティヴな要因をつい思い浮かべてしまう。

ましてや「エスター」のようなスリラーやホラーの領域って、アイデアと謎解きがキモになっている場合が多いので、解けた謎を知っている僕達が、その続編を心底楽しめるのか非常に疑問がある。

さて、この「エスター ファースト・キル」は評価も高いようなので、サブスクにて鑑賞した。前日譚という事で、一応、映画内の登場人物は、前作で明かされた謎を知らないという設定になっているものの、やはり僕達観る側は、その設定に「お付き合い」する格好になり、あまり楽しくない。

それ以上に厳しいのは、前作で登場した声を出せない障害を持つ少女や、アルコール依存症によって周囲から信頼を失っていく母親に該当する、演出上の重要人物がいない事。

監督も脚本も前作と総入れ替えの本作は、エスターのビジュアルや奇行にのみスポットを当て、作品全体の構成には全く無頓着な仕上がりになっているように思う。そもそも原題には前作も含めて「Esther」の文字は無い。どうしてこうもキャラクター重視になってしまうのか。