Aoi

ブレット・トレインのAoiのネタバレレビュー・内容・結末

ブレット・トレイン(2022年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

伊坂幸太郎の原作「マリアビートル」を鑑賞前ギリギリに読了。そのため、やや原作との比較が多い感想となっております。


「マリアビートル」のエッセンスを損なうことなくド派手なハリウッド・アクションに昇華させた良作


ブレット・トレインは新幹線を意識しているのだろうけど、飛行機のような仕様になってるし、明け方は動いてないし、静岡を出た後にあんな壮大な富士山は見えない。
的外れなネオジャパンは日本人から見るとツッコミどころ満載だけど、海外から見たエセ日本観がこの世界に合っている。


まともじゃない乗客たちの思惑が絡み合って、思わぬ方向へ事態が進んでいくのがこの作品の醍醐味。登場人物の何気ない会話や一挙一投足が後々効いてくる。
映画もそういう描き方ではあるけれど、テンポの速い展開と誇張された回想シーンが多いため、初見の人がストーリーについていけてるか疑問だった。そんな細かいことは気にせず、とりあえず楽しめってスタンスなのだろう。


伊坂幸太郎の小説はあまり読んだことがなかったが、物語の設定も文章の表現も洋画のようだと感じた。新幹線がホームに入る様子をカジノのルーレットにたとえる文章なんてそのまま映画の演出として成立しそう。

映画の前半は思ったより原作に近く驚いた。でも後半は完全にオリジナルな展開だった。最初は静かに車内でやり合ってたのに、最後の方はみんな好き放題に暴れまくり。やや演出過剰な挿入曲も逆にテンション上がった。

プリンス(王子)は性別も含めて設定からかなり改変されており、脅威としての存在感は薄くなっていた。
“ホワイト・デス”なるオリジナルキャラを完全な悪人にして、勧善懲悪の方向へ持っていったのは、発散したストーリーを帰結させるのに上手いやり方だったと思う。すべては因果応報ということで。


作品に欠かせない個性豊かなキャラクターたちは最高に仕上がってた。
ウルフ(狼)の凝ったビハインドストーリーには笑いを堪えられずにいられない。
真田広之演じる木村父は貫禄がありすぎるし、彼のおかげで締まりが出た。
レモン(檸檬)とタンジェリン(蜜柑)のコンビも好き。きかんしゃトーマスでしか物事を話せない蜜柑はキャラそのままだったし、英語訳本がそうなのかもしれないけど、蜜柑を英国人にしたのは正解だと思う。
あとモモもんは完全にソメイ……笑


でもやっぱり、ついてないレディバグ(天道虫)とマリア様が最高なのよ。


時間があったら吹き替えでも見てみたい。
Aoi

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