けんたろう

ウィジャ・シャーク 霊界サメ大戦のけんたろうのレビュー・感想・評価

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眼福の対義語。


さて、今年の映画納めは何にしようか。矢つ張り、小津やキアロスタミにしようかしらん。まあ然し、ロシア映画も観たいところだなあ。あ、最近余んまり観られてなかつたデイズニイもいゝかも知れない。といふかマアベル映画も全然観られてねえな。あ、ぢやあドクタア・ストレンジの二作目とかいゝんぢやないかしらん。いやあ、迷ふなあ。

然ういふ訳けで辿り着いた一作、『ウィジャ・シャーク/霊界サメ大戦』。いやに面白さうなオヽプニング・クレジツトが予感せしむる、最高級のサメ × 魔法映画。
水着姿のデブばかりを映す、最早や誰れがタアゲツトなのかも判別させぬ其の意慾的なる手法。無意味すぎて無意味すぎる全く無意味の、意味ありげとか本当に何んにも無い、只々無意味なカツトの連続ばかりで、現代に於いて最も前衛的と云うても過言ではない構成。登場人物のクソよりもクソな真にクソなるおふざけを、余裕で超えてくるほどにいゝ加減な制作陣のおふざけ。リアリテイなんてものを超越したトンデモ描写、トンデモ演技、然うして其れを一入トンデモたらしむる至極のトンデモ展開。並みのコメデイ映画ぢや丸で歯が立たない、驚愕のあつさり死んでゆく人々。金が無かつたのか技術が無かつたのか、兎角可成り断片的に描写せらるゝことで、見せずして見せらるゝ幽霊サメ。故によく判らぬ位置関係。果ては、全然登場しない魔術バトル。

もう素晴らしすぎて涙がでてく──んな訳けねえだろ馬鹿野郎! 何んだ此のクソ映画は!
てか最後もよ、まさかアイツが絡んでたのかよつて感じだよ! お前ら、最後の最後まで悪ふざけしすぎだらう! もう笑つちまふよ此の野郎!


さて本年も色々と素晴らしきものに出会ふことが叶ひまして、まあ自分で此んなことを云うても世話ないのですが、然し非常に好い一年間を過ごすことが出来たなと思うてをります。そして其の締め括りとして本作を観た訳けでございますが、──一体私しは何うして此れを選んでしまつたのでせうか。甚だ不思議でなりません。
まあ然しですな。映画は素晴らしい! といふ訳けでございませうな。然う、詰まりは然ういふことです。要するに、『ウィジャ・シャーク』とは然ういふことを教へてくれる作品といふ訳けでございます。いやあ素晴らしうございますね。此れは二作目も観ない訳けにはゆきますまい。
さて、来たる令和五年でございますが、燻りたる手前、一寸デカいことをしたうございますね。