みそらしど

ボクたちはみんな大人になれなかったのみそらしどのレビュー・感想・評価

3.0
原作の小説を少し前に読んでいたけど、内容をあまり思い出せないまま鑑賞。

「大人になれなかった」というのは「前に進めなかった。変われなかった。」ということなのかな。
主人公の佐藤は、若い頃に付き合っていた彼女の価値観に大きく影響されて、40代になったいまも引きずっている。わかりやすいのは、「普通」を馬鹿にするような斜に構えた態度。
10代後半から20代前半くらいまでの期間は、異性同性問わず好意を持った人や憧れた人からの影響を受けやすくて、それが深く自分に残るような気がする。ポジティブな意味合いで残ることもあるかもしれないけれど、ネガティブに残るとそれは最早呪いだなぁと思う。
私も高校時代に、憧れながら嫉妬した人の価値観が、まるで「正しいもの」のようにこびりついている部分がまだ少しあって、時々「もう数年経つのに未だに進めてないのかな」とモヤモヤする…。

佐藤の場合は、自分に散々影響を与えてきた元カノが、いわゆる「普通」の幸せ=結婚をすることになったから複雑だろうな。未だに囚われているのは、囚われている側の勝手だけど、「その価値観に巻き込んだお前は普通に幸せになるのかよ」って思ってしまいそうだし、そんなことを考える自分のことが一層情けなくなって「大人になれてない」ということを改めて突きつけられてえぐられそうだな。。。

原作やこの映画がある程度の人々から支持を受けたことで、ただの一個人に勝手に影響されて、それに呪われちゃう苦しさって色んな人が共感するのかなと思い少し安心もしました。

誰かに染められても、凹ませられても、元の色元の形に戻れる弾力マンになりたい!!!!


追記:
「嬉しい時、悲しい気持ちになる」って言葉はなぜか心に残っている。その感覚がわかるようでわからないような気もするけど、嬉しさと悲しさは決して遠いところに位置しているわけではないとは思っている。